人の気持ちをカエル店:第1話

 世の中うまくいかない。自分がどれだけ頑張っても報われない。別にお金とか物がほしいって訳じゃないんだ。…いやごめん、ウソ。あった方がいいよ。うん。ただ、「よくやったな」とか、そこまでいかないにしても「次につながるから引き続きがんばりなさい」とかやる気になることを言ってくれればいいのになにもなしだよ?まだ文句を言ってくれる方がましだよ。ほんと世の中うまくいかない。

 自分は高校2年生で物理部と美術部を掛け持ちしてる割といそがしい学生だ。なら掛け持ちなんてするなと言われるが…まあそのとおりだろう。どちらも好きで入ったんだから「割といそがしい」なんて言うべきではなかったね。反省。

 でもまあいそがしいのは確かで物理部も美術部もきびしい先生が顧問で毎日てんてこ舞いしてるんだ。いやね、厳しいけど自分の実力になってる。けど、自分の成果を出しても「ここ治して、こうしたらいいんじゃないか」という指導は無く、出来がわるかったら「やり直し」、合格点だったら「次これをやって」と言うだけ…

…それでも実力になっているから不思議。
まるで伝統工芸を師匠が作るのをまねて一人前になる弟子のような感覚。実に不思議…


続話:人の気持ちをカエル店(第2話)